長い、長い春の物語 ――『さくら、咲きました。』感想
――臨時ニュースをお伝えします。本日も桜が満開でしょう。
ずいぶん遅くなりましたが、『さくら、咲きました。』を今更フルコンプしました(発売日に買ったのに!)。というわけで感想というか思いつくままにいろいろ書いてみます。ちなみに他の人の感想はまだ読んでないので同じような内容を書くかもしれません。
それでは。(以下ネタバレあり、というかやってない人はおいてけぼり)
(追記。あと一応18禁ゲームの感想です。それ相応の語句を連呼しまくっている箇所があります)
都ルートとか
納得いかねぇ。なんで都がエロゲ―をするシーンがないんだよぉ!!(お
それは冗談としても、いや、本心だけどさ。普通に試験に合格して宇宙に行くで良かったんじゃないか?とりあえず共通ルートで鬱陶しいほど料理評論してたのはこのためだったってのが分かったときは「おおっ」となったのに、それで落ちちゃうんじゃあ。まあその辺は別にいいっちゃいいんだけど、一つだけこれだけは、ってのが。料理を捨てるな。そりゃいちいち食べてるわけにはいかないけど、ただでさえ食料が手に入りにくくなっているのに。その辺作中で触れてなくても全く問題がなかったと思うんだけどなぁ。
都ルートだけどどちらかというとつばめや部長のほうが目立っていた気がしないでもない。全編通して都は影が薄いけど。教室ではクールな美少女が部活では実は!ってキャラクターなんだけど、基本的に教室での場面がないのでそのギャップを生かす時がない。で、そうなると割と普通人なのであの中では埋没する。あぁ、特に何が起きるわけでもない日常でイチャイチャしながら都にエロゲーをやらせるファンディスクはよ。
で。そう、つばめ。つばめがねー、なんかかわいくてね、男前でね、いじらしくてね、ああ、なんで自分はこんな娘を残していかないといけないんだ、地球を出て、後、あと一週間ほどで死んじゃうんだよ。それなのに誰も恨まず、いっぱいいっぱい泣いて最後に見送りに来てくれて。ああ、つばめ、次は絶対傍にいてやるからな……美羽ルート、だと?
美羽ルートとか
本当は一刻も早くつばめルートをやりたかったけどルートロックがかかっているので仕方がない。美羽ルートをやろう。ちなみにこのルート、良かった。半分以上はラストシーンのの印象だけど。
このルートではつばめはあまり出てこない。一方でいままでスポットが当たっていなかった会長の出番が多い。このエントリーを書いたのがちょうど美羽ルートをプレイしていたとき。あれから3か月以上経つのか。会長かわええ。そのことについては後ほど。
でまあ、美羽がトコシエじゃないよ極度の依存娘になってじゃあ親に会いに行く、ってなって、そこで、そこから2週間主人公が何をやってたかが重要じゃないか。いまいち活躍してない印象のある翼だけど、一応頑張っているんだけどそれが書かれてないというか、まあ。地味な活躍だったとは思うけどね。
さっきも話に出てきたけど、ラストシーンがよかった。伏線、とはちょっと違っていて、うまく小道具を組み合わせた感じ。ここぞとばかりに流れる「Forget to prime Last World」も併せてかなり盛り上がった。最後、画面がホワイトアウトしてバットが乾いた音を立てる。この音も伏線だ。
つばめルート
というわけで待ちに待ったつばめルートですよ。なんですけど。いや、好きですよ。こう周りに猛烈プッシュされて本人たちもまんざらではなくエッチもほほえましいというかコントじゃないかと思いつつ最後まで絶望せずただ穏やかにその時を迎えるとか体験版のときからこういうのが観たかったんだけど。
なんだけど。こう、もうちょっとエッチ以外になんかすることはなかったのか、とか。こう、普通の終末物のように自分たちが死んでも残るメッセージとかなんとか残したりとか、いや、まあ、別にいらんけど、それでももうちょっと建設的なことがあったんじゃないかとか。確認のためにつばめルートやり直してやっぱり気が変わった。まあ確かにエッチが大部分を占めるけど、特にイベントはなくても(都といろいろあったりはしたけど)怖くても少しずつ現実を受け入れていくとか悩んで克服してまた悩んで、それでも最後には悔いなく終われるようになるそのプロセスが大事というか。つばめには甘いな、自分。
やっぱりつばめかわいい。初エッチで痛いけどなんか応援しちゃうつばめかわいい。興味津々なつばめかわいい。お弁当ウインナーのほうがマシなつばめかわいい。いや、自分もエッチのことばっか書いてるけど。えーと、頬に付いたご飯粒食べられたのがずるくてあーんってご飯食べさせてもらったつばめかわいい、ってこれはその先の話か。
あとは次期部長の座を賭ける都がいいキャラしている。もしかしたらこのときが、都が最も輝いていた時だったかもしれない。
さくら編・桜編とか
とりあえず、冒頭からいきなりつばつばコンビのラブコメが入る。このファンディスクはどこに行けば売っていますか?美羽ルートのラストでカキンとかって「そんな小石を打つよーな音じゃねーよ」っていう効果音が入るんだけど、そういうことか。きっとバットを落とした音だろう。というか3項目前の私の悲しみを返せ。
そして語られる真相。つばめルートのあれは部長の精一杯の譲歩か。それにしても、コンテナこえーよ。あれに一枚絵がなくて本当によかった、確実にトラウマになっている。
そのあとさくらの過去話が語られるけど……。正直どうもパッとしない。詩乃がシナリオのギミック以上のものに感じられないというか。こういうセリフを言うにはこういう過去が必要で、ってそれ自体は大切なことなんだけど、どうもそれが説明以上のものでないというか。
このゲームのテーマを描くためにトコシエと隕石という二つの大きな舞台装置を使って、それはメイン3人の個別では確かに機能したんだけど、このさくら編および次の桜編が完全にその大きすぎる舞台装置の後始末になった感が。そういうわけでなんかもにょる。
そして桜編では一気に百年ほど飛ぶ。「大して雰囲気変わってねーじゃねーか」って思うかもしれないけど、意外なところに答えが書いてある。
桜ノ杜ぶんこ「さくら、咲きました。」特設ページ | 桜ノ杜ぶっくす
"在りし日の田舎の再生"をコンセプトに作られた美春町に住む少年新庄翼は、
というわけでそういうコンセプトの町らしい。ちなみに小説版は未読。アニメイトが遠い。通販を使うべきか。
とりあえず言いたいことはあるが、[後で書く]
そのあとさらに百年飛ぶ。250年以上幼馴染と一緒とかうらやま……けしからん。はい、ばりばりの禁止委員です。
この物語の最後の宿題、都の帰還が描かれる。自分がこのゲームで一番印象に残っているのが、つばめと都が再開してあと数メートルを隔てて対峙する場面。
光の単位で隔てられていた二人の距離は、今や数メートル。
正直個別以降は蛇足じゃね、とか思っていたのがこの一文で吹き飛んだ。そう、必要だったんだ、待つことが。会えると信じて待って、そしてまた会えた。このあたりが自分がこのゲームを好きな理由で、そして……[後で書く]
今日は地球が生まれてから、一番にぎやかな日になーる!
体験版のときからお気に入りのセリフだけど、
今日は地球が生まれてから、一番にぎやかな日になる! - komorebikoboshiの日記
これは部長バージョンで、上のがつばめがラストに言うバージョン。もしかしたら、この物語の本当の主人公はつばめかもしれない。泣き虫だった少女は、泣き虫で強い少女に変わっていった。そのフォローをしたのが翼で、だから翼がいまいち目立たないのもしょうがないのかもしれない。
そんな彼女と彼の物語は続く。長い、長い春の物語。
そのほかのルートとか
ちょっと長くなったのでまとめて。
奏ルート
グランドエンド後に解放されるだけあって隕石が落ちないこと前提のシナリオ。都、あのあと絵を全部見る羽目になるのかなあ。まあ時間はいくらでもあるけど。
「さーくんのばーか!」
かいちょールート
ちくしょお、会長あざとい。でもかわいい。天使ちゃんマジ天使。中盤での勝負は美羽が勝つが、あそこで勝つのがメインヒロインとサブヒロインの差か。正直そのあとの会長はちょっとどうかと思うが。
部長ルート
体験版での感想では冗談っぽく書いたけど、自分は割と本気で会長が好きである。けどここまで重要なキャラクターだったとは。
つばめが自身のルートのあの状態から勝手に復活していて違和感があるかもしれないが、きっと部長ルートでは
オペレーション・トロイア→家に引きこもる→翼たちが説得に来る→まだ引きこもっている→飽きて部室に行く(この部室に行った日はつばめルートの退部届を出しに行った日とは別)→さーくんが電波なこと言ってるよぉ
っていう流れなんだと思う。根本から流れが違う。つばめルートから分岐してるように見えるけど、あれはたまたま流れが同じだった部分を映しているに過ぎない。え、じゃあいつ分岐したかって?そんなのゲームを起動したときに決まっている。シナリオプレイヤーをクリックしたときからこの流れになるのは決定されていたんだ。じゃないと自分があの状態のつばめをほっといて部長に走るわけがないじゃないか!
というかこのシナリオは裏で動いている事象の流れがほかのシナリオと違う気がする。トコシエ排除計画の完了のタイミングとか。
その他の人とか
全員は無理なので印象に残っている人を
歩鳥ちゃん
とりあえずイメージ通りな人。SORAHANE作品の車持ちは暴走しなきゃいけない決まりでもあるんだろうか。でも歩鳥ちゃんの運転はだいぶおとなしめだ。数百年あの姿で教師をやっているわけだけど、周りはどう思っているのか。「まあ、歩鳥ちゃんだし」で片づけられている気がしないでもない。
すずめさん
翼の親代わり。主人公が料理できるのでお母さんは料理ができない。それにしても、今日地球が滅ぶのに娘と過ごさず「恋人と過ごしなさい」ってのはなかなか言えないことだと思う。
寒河江くん
とりあえず個別以降まったく出番がなくなった人。でも、しかたないね。親友としての役割はすべてつばめに奪われた。幼馴染が親友型だとこんなことになるんだなー。つばめはどちらかというと家族だけど。
詩乃ちゃん
前にも言ったけどどうも話の都合的な部分を感じてしまう。いい子なのはいい子なんですよ、それだけに……。生まれる時代がもう少し遅ければ、トコシエ技術が普及した後に生まれていればどんな選択をしたかは気になる。
音楽とか
歌では、メインヒロイン3人のルートを終わらせた時点では「Forget to prime」の方が好きだったけど、桜編が終わってからは「春と奇跡」のほうが好きになった。この自分の変化が割と面白かったり。
BGMでは「Forget to prime -PianoSolo-」かなあ。特につばめとの展望台のシーンの印象が強い。もちろん「Forget to prime Last World」も印象深いけど若干多用されすぎてるきらいはある。もうひとつのオーケストラアレンジの曲「Prime Limitation -Near the blue sky-」は、たしか使われているのがさくら編のラストのみで、しかも普通にクリックしてると曲が終わる前にチャプターが終わってしまうという不遇。これもいい曲なんだけど。日常曲では「太陽色の菜の花」とかかな。さわやかでずっと聞いていたくなる。
CGとか
まとめサイトで取り上げられて割と話題になった。というかこのブログでもいまだに「さくら、咲きました。 CG」が検索ワードの上位になってたりする。
「さくら、咲きました。」背景CG公開・他 - komorebikoboshiの日記
なんか本当にすみません。多分求めている情報はないです。そしてアクセス解析サボっていてすみません。とりあえず年末までにはデータだけでも挙げます。
あのとき
田舎町にぽつんとあるカタパルトが不穏なんだぜ。
とか書いたけど、まさか本当に意味があったとは。
ムービーとか
とりあえず、いまだになぜOPムービーがあんな感じなのかが分からない。むしろPVの方がまだ合っていたような気がしないでもない。そのPVだけど、サクラ編チャプタ1の終わりに流れる。ただ、どうも2周目以降しか流れないらしく、シナリオプレイヤーがあるためプレイ中は最初まで戻ることがないのでまず気づかないという。サクラ編チャプタ1の朝食が終わったあとに流れる。1周目でも流れるけどスキップしていると流れない。
システムとか
噂には聞いていたが、すごいなぁ、シナリオプレイヤー。これはむしろクリアした後に真価を発揮すると思う。とりあえず見たいところにすぐに飛べるので感想を書くのがすごく楽。これにテキスト検索機能が付けば完璧だと思ったのは自分だけだろう。ひとつ気になったのは、チャプタが違うと同じテキストでも既読スキップがきかないこと。具体的にはチャプタ10_3、10_4、10_5の前半部分。個別ルートへ分岐する部分だけど、前半部分のテキストは全く同じ。この辺はもう少しチャプタをうまく切り分けたほうがよかったんじゃあないかな。
その他雑多なこと
・美羽のあだ名、みゅーたんの由来でmutant(突然変異)という単語が出てきたとき、「ああ、だから変更可能なオブジェクトがmutableで変更できないのがimmutableなのか」と納得した。本当にどうでもいい。
・オペレーション・トロイアに出てきたレールガンだけど、ずっと木星軌道上にあると勘違いしていた(本当は月と地球の間)。トロイ小惑星群の話とごっちゃになっていた。
・こっこ・カメリーヌ・トロ。キャラクターの項目で書き忘れていたけど、こいつら、あんだけ意味あり気に退場しておいて結局その後クマ追い払っただけかよ!
ひとつめの[後で書く]
いや、さすがに100年もモラトリアムしているのはどうなのかなー、と思ったけど、トコシエだとばれちゃいけないなら一つの所には留まれないし、そうしたらまともに働くのは不可能かなあとも思った。それにずっとあの姿だし。そうなると居場所を転々とするか、歩鳥先生のように(おそらく)周囲の暗黙の了解のもとに一つの場所に縛られるほかないのかな、とか。おそらくあの後の世界で普通の大人として生きていくことは不可能だろう。生活部で新入生を導くのも社会的な役割と言えばそうだし(部の活動内容とかは割とまともそうだし、特につばめ部長の場合は)。そんなわけで数百年学生しているのもそれが(向こうの社会で)許容されているならアリなのかもしれない。もちろん、あきらめないといけないことも多いと思う、自分たちの子供とか。
ふたつめの[後で書く]
とりあえずこれで書きたいことはだいたい書いたかな。いや、本当はもっと書かなければならないことがあるんだろうけど疲れた。*1本当はもっと宣伝するつもりだったけど、気づいたら不満ばかり書いていた気がするなぁ。にもかかわらず、このブログのヘッダー部分にはこの作品のバナーが出ているわけで。
この、『さくら、咲きました。』という作品には、私好みの要素がいっぱいあって、それは例えばなんとか作品を技術的なこととからめようとしたり、なんか無意味に曹操とか荀紣とか出てきたり*2、先にも書いたように願いはかなうとか好きな人(それは恋人としての好きだけではなく)のために何かしたいとか、そういうのが描かれるとかそういうの。
SORAHANEというメーカーの理念に共感した……っていうのはもう今は無い某サイトの『AQUA』の感想に書いてあった言葉だけど、自分としてもそんな気持ち。たしかに、ちょっとこれは……、っていう部分は多かったけど、それでもこのブランドの次の作品が楽しみだし、『AQUA』もやりたいと思っている。*3そんなわけで、このブログではSORAHANEを応援しています。
最後に
ああ、つばめかわいいよお。なんかつばめの事ばかり書いてるけどこれはもともと、どんだけつばめが可愛いかを力説する記事を別に書こうとして、思ったよりもネタを書けなかったのでこの感想記事に混ぜ込んでしまったため。そんなつばめの誕生日は4月7日。プレイ中必死に計算したのにフルコンプ後のおまけにそのままズバリ書いてあるじゃん……。